コラム

天動説 動くのは天、なぜなら大地が動かないから

天動説
天動説が流行っています。

いつぐらいから流行っているかといえば、紀元前からです。

今回は天動説の話です。

天動説はまともな説

私たちが暮らしている空間で地球が動いていると考えるのはおかしい話です。
それよりも天が動いていると考えたほうがまともです。
地上から見たら太陽も月も動いています。
恒星たちは互いの相対的な位置を変えずに、時間を追うごとに少しずつ移動します。

天動説とは

天動説とは、世界の中心が地球であるという説です。
地球を中心に、その周りを太陽や月や星が動くのですね。

天そのものが動くので「天動説」と呼ばれています。

私達が暮らしていく上でそのように感じるのですから、とてもまともです。
あなただって、大地が動いているとは実感していないはずです。
太陽や月や星が動いていると感じますよね。

ですから天動説は至極まともな常識的な考え方なのです。

さらに、私達が暮らしている地球が世界の中心であるという点は、特別な存在でありたいことを満足させます。
私達は誰もが自分を特別大切な存在だと信じています。

地球は丸かった

よく混同されるのですが、地球が丸いことと天動説は同じではありません。
「地球が丸い」というのは地上がどこまでも続くまっ平ではないということです。

紀元前6世紀頃の記録では大地は平面ではないことが記されています。
水平線の向こうから帰ってくる船は高い部分から見え始めます。
これは大地が球体あるいは凸面であることの証明ですね。

さらに紀元前2世紀ごろにはギリシアのエラトステネスが地球の大きさも計算しています。
太陽が作る影を利用し、計算した値は直径4.4万キロメートル。
実際の値と10%程度の誤差なので驚きです。

天動説が洗練された同心天球説

このころ天体観測の技術も進み惑星の動きもかなり正確に取り入れられています。
そこで唱えられたのは同心天球説です。

同心天球説とは

地球を中心としていくつもの同心円で天体が構成されています。
これが同心天球説です。
その集大成を行ったのがプトレマイオスでした。
2世紀のことです。

このモデルはとても緻密で正確です。
あまりにも美しく多くの人が賛同しました。

その後、1000年以上、ヨーロッパ天動説の主流になっていました。

2世紀のプトレマイオスの時代は中国では三国志の時代です。
日本は卑弥呼の時代ですね。

プトレマイオスの天動説

プトレマイオスの同心天球説は、中心に地球があります。
その周りを内側から順に月、水星、金星、太陽が回っています。
2つの惑星が太陽より手前にあるのは食が起こるからですね。
太陽の外側には順に火星、木星、土星があり、いちばん外側を恒星が回っています。

もちろんプトレマイオス以外にも天体を観測する天文学者はいました。
彼らは膨大な観測データを残しています。
これらの観測データをプトレマイオスは正確に取り入れています。
あまりにも正確であるため、この説こそが真実であると誰もが信じ、疑う人はいませんでした。

天動説こそが信じられる

天動説はまともです。
しかも天体の不思議な動きをすべて説明してくれます。

仮に天空で不思議な現象がおきたとしても、優秀な天文学者が現象を解き明かしてくれます。
天文学は天動説を中心に1000年以上も周り続けます。

悠久の年月です。

執筆者: 青田ちひろ

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