おおぐま座 Ursa Major


おおぐま座(Ursa Major、ウルサ・マイナー)は、北天に位置する星座の一つで、北半球では一年を通して観測できる周極星です。特に「北斗七星」として知られる一部の星の並びが有名で、古代から航海や方角を示す目印として利用され、数多くの神話や伝承に登場してきました。
おおぐま座の特徴
北斗七星
おおぐま座の中で最も有名なのは「北斗七星(Big Dipper)」です。北斗七星は、柄杓(ひしゃく)のような形をした星の並びで、日本でも非常に馴染み深い星々です。
北斗七星を構成する7つの星は、アルカイド(η星)、ミザール(ζ星)、アリオト(ε星)、メグレズ(δ星)、フェクダ(γ星)、ドゥーベ(α星)、メラク(β星)で、これらがひしゃく型に配置されています。特に、ミザールとその隣にあるアルコル(伴星)は肉眼で観測できる二重星として有名です。
位置と見つけ方
おおぐま座は北極星の近くに位置し、北半球のほとんどの地域で一年中見ることができます。北斗七星を見つけることができれば、それがそのままおおぐま座の一部です。
北斗七星の「柄の部分」を延長していくと、アークトゥルス(うしかい座)やスピカ(おとめ座)といった明るい星にたどり着けるため、春の夜空では「春の大曲線」としてこれらの星を巡る楽しみ方もあります。
星座の形
おおぐま座全体は、7つの星からなる北斗七星を含む広い星座で、熊の姿をかたどっているとされています。北斗七星が熊の「腰」から「尾」の部分とされ、それ以外の星が熊の頭や足を表していると考えられます。
ただし、北斗七星以外の部分は比較的暗い星が多いため、肉眼で全体像を把握するのは難しいこともあります。
神話や伝承
おおぐま座は多くの神話に登場します。ギリシャ神話では、おおぐま座はカリストという女性が変えられた姿とされています。カリストは美しいニンフで、大神ゼウスとの間に子ども(アルカス)を授かりましたが、ゼウスの妻ヘラの怒りを買い、熊の姿に変えられてしまいます。後にゼウスは、カリストを星座として夜空に配置しました。
このため、うしかい座のアルカスは、母であるおおぐま座を見守っているとされ、夜空では親子の星座として語り継がれています。
恒星や天体
おおぐま座には、いくつかの興味深い天体があります。例えば、ミザール(ζ星)は二重星として有名で、隣にあるアルコルとともに観測の対象とされています。ミザール自体も実は二重星で、望遠鏡で観察すると分離して見えます。
さらに、メシエ天体として知られるM81(ボーデ銀河)とM82(葉巻銀河)もおおぐま座にあります。これらは銀河同士の相互作用で知られる天体で、双眼鏡や望遠鏡で観測できるため、天文ファンに人気の観測対象です。
北斗七星を使った方角の見つけ方
北斗七星は、昔から方角を知るための目印として使われてきました。北斗七星の「ひしゃくの外側」の2つの星、ドゥーベとメラクを結んだ線を延長すると、北極星にたどり着きます。北極星はこぐま座の一部で、北を示す目印として利用されてきました。
特に古代の航海者や旅人にとって、北斗七星と北極星は重要な目印であり、北半球の夜空で必ず目にすることのできる星の並びとして、重要視されてきました。
おおぐま座の観測
おおぐま座は北半球で一年中観測できる星座ですが、特に春の夜空でよく見えます。北斗七星を見つけた後に、その先にあるアークトゥルスやスピカといった明るい星をたどることで、夜空の星座を楽しむことができます。また、双眼鏡や小型の望遠鏡があれば、ミザールとアルコルの二重星や、M81、M82といった銀河を観測することもできるため、観測初心者から天文ファンまで幅広く楽しむことができる星座です。
本サイトに掲載されているすべての内容の著作権は運営者に帰属しております。
本サイトの掲載内容(画像、文章等)の一部及び全てについて、無断で複製、転載、転用、改変等の二次利用を固く禁じます。 上記著作権の無断複製、転載、転用、改変等が判明した場合は、法的措置をとる場合がございます。